物 語
その夜、会社員の須賀一人が自宅アパートへ帰りつくと、
ドアの前に見知らぬ少年が蹲っていた。
彼は、一年前に亡くなった、一人の飼い猫のハナだと名乗る。
不審に思いながらも突き放すことができず、
「ハナ少年」と同居生活を始める一人。
祖父母とハナしか知らない記憶をなぜか語る少年は、
やがて一人の孤独な生活と心に変化をもたらしていく。
しかし一人には孤独に生きる理由があった。
それは自分の手が、
「消えろ」と願ったものを消す力を持っていることだった。
償いの人生を生きる男と、猫だと自称する光り輝く少年の、
花々が咲きほこる極彩色の愛の行方は――。