無料公開
「本来、宮殿にいる下働きの男はそうされていた。おまえもここにいる限り女を抱くこともない。なくなっても困るものでもないだろう」
「や、いや」
切り落とされる想像に、身体がふるえだす。怯えであふれてきた涙が、ほおを伝った。頼んでふれてもらっていた性器が、縮こまった。
「いやです。いや。許して」
「今夜はなにをしていた」
「ふっ、え、調理場に……赤の軍が帰ってきたから、みんな忙しくて、だから手伝いを」
「赤の軍の、食事の手伝い、か」
青の王は静かにそう言って、とがめるように萎えかけた性器を乱暴にてのひらでもてあそんだ。
「ごめ、なさい」
「おまえは、下働きをするために宮殿にいるわけではない。シアンから聞かなかったか。明日、西方に発つ」
俺はこくこくとうなずいた。
「わかっているなら、大人しく部屋にいろ。抱きにくるとは思わなかったのか」
ぼろぼろと涙がこぼれてくる。
「切り落とすと、達するのが遅くなるらしい。西方から帰ったら、どう変わっているか楽しみだ」
「いや、いやあ」
恐怖で叫んだ。急に腰をつかまれ、ゆさぶられた。手加減のないやり方に、生理的な涙がこぼれる。
身体はさっきまでの刺激で簡単に反応して、鈍い快感とともに射精した。
白くにごったものが腹にかかって、身をふるわせたけれど、つきあげられるのは止めてもらえない。余韻がかき消えるくらいに、激しく抽挿を繰り返されたあと、腹の中で精液をまかれた。
俺は中で出されるのを感じ取ると、びくびくとふるえて、はじめての刺激にしびれた。
ようやくひもを解かれて自由になったのに、まだ先ほどの恐怖にしばられていた。
「ほ、本気ですか」
「本気?」
「切られるのは……怖い」
俺はめそめそと泣いた。青の王は、服を着替え終わるまで、俺を放っておいた。
「おまえの看護で、ルリの容体がよくなったと医師から聞いた。医師の見立てでは、あとひとつきはかかるはずだった。功績をみとめてやる」
「……じゃあ」
青の王は、俺の首すじをなでた。
「留守の間に、面倒を起こさなければな」
口調はいつも通りだが、それが妙に優しい仕草だったので、俺は動けずにぼんやりとした。
「あの、赤の王のご容体はどうなのでしょうか」
「なぜそんなことを知りたがる? おまえには、何の関係もないことだろう」
一瞬、ハクのことを話してしまったらラクだろうかと思ったが、そもそも俺が素直に話したところで、この男がすんなり教えてくれるとは思えない。
それくらいのことは予想ができた。
「シャーが心配で」
答えると、青の王は薄く笑った。
「なにを企んでいる。おまえが可愛げのあることを言うなら、それなりに考えがあるのだろう。私になにを言わせたい? 西方の制圧を、やめろとでも?」
「青の軍は、王宮で一番強いと聞きました。西方の民は貧しく、たいした武器も持っていません」
「おまえは西方の出だったな。妹は西方から逃がしたはずだ。他にも、傷つけられたくない者が住んでいるのか」
「俺の大事なひとがいたら、逃がしてもらえるのですか」
青の王は、「わかっているだろう」と言った。
「殺されるのをおそれるくらいならば、従順に生きるべきだ。それを民に、教えに行く。たとえ、おまえが本物の星見であったとしても、託宣はいらない」
ひっそりとほほえむ。いつものように、俺の反応を見て楽しむのではなく、心からそう思っているのがわかる。
どうしてか、涙があふれた。
「ルリ様に同じことを言われても、民を殺しに行くのですか」
「──どういう意味だ」
「ルリ様のように慈しむ相手がいらっしゃるのに、誰かの気持ちに寄り添うことはできないのですか? もしもヒソクが西方にいたら、俺は今、あなたを殺してでも止めます」
涙の向こうはぼやけていた。頭がどろのように重い。青の王は、「寝物語にしては気分が悪い」と、言った。
「忘れるな、ヒソク。おまえが他を殺してでも守りたいものがあるように、私には王として、この国を守る義務がある」
そう言って、もう一度、胸のティンクチャーをなでた。
「や、いや」
切り落とされる想像に、身体がふるえだす。怯えであふれてきた涙が、ほおを伝った。頼んでふれてもらっていた性器が、縮こまった。
「いやです。いや。許して」
「今夜はなにをしていた」
「ふっ、え、調理場に……赤の軍が帰ってきたから、みんな忙しくて、だから手伝いを」
「赤の軍の、食事の手伝い、か」
青の王は静かにそう言って、とがめるように萎えかけた性器を乱暴にてのひらでもてあそんだ。
「ごめ、なさい」
「おまえは、下働きをするために宮殿にいるわけではない。シアンから聞かなかったか。明日、西方に発つ」
俺はこくこくとうなずいた。
「わかっているなら、大人しく部屋にいろ。抱きにくるとは思わなかったのか」
ぼろぼろと涙がこぼれてくる。
「切り落とすと、達するのが遅くなるらしい。西方から帰ったら、どう変わっているか楽しみだ」
「いや、いやあ」
恐怖で叫んだ。急に腰をつかまれ、ゆさぶられた。手加減のないやり方に、生理的な涙がこぼれる。
身体はさっきまでの刺激で簡単に反応して、鈍い快感とともに射精した。
白くにごったものが腹にかかって、身をふるわせたけれど、つきあげられるのは止めてもらえない。余韻がかき消えるくらいに、激しく抽挿を繰り返されたあと、腹の中で精液をまかれた。
俺は中で出されるのを感じ取ると、びくびくとふるえて、はじめての刺激にしびれた。
ようやくひもを解かれて自由になったのに、まだ先ほどの恐怖にしばられていた。
「ほ、本気ですか」
「本気?」
「切られるのは……怖い」
俺はめそめそと泣いた。青の王は、服を着替え終わるまで、俺を放っておいた。
「おまえの看護で、ルリの容体がよくなったと医師から聞いた。医師の見立てでは、あとひとつきはかかるはずだった。功績をみとめてやる」
「……じゃあ」
青の王は、俺の首すじをなでた。
「留守の間に、面倒を起こさなければな」
口調はいつも通りだが、それが妙に優しい仕草だったので、俺は動けずにぼんやりとした。
「あの、赤の王のご容体はどうなのでしょうか」
「なぜそんなことを知りたがる? おまえには、何の関係もないことだろう」
一瞬、ハクのことを話してしまったらラクだろうかと思ったが、そもそも俺が素直に話したところで、この男がすんなり教えてくれるとは思えない。
それくらいのことは予想ができた。
「シャーが心配で」
答えると、青の王は薄く笑った。
「なにを企んでいる。おまえが可愛げのあることを言うなら、それなりに考えがあるのだろう。私になにを言わせたい? 西方の制圧を、やめろとでも?」
「青の軍は、王宮で一番強いと聞きました。西方の民は貧しく、たいした武器も持っていません」
「おまえは西方の出だったな。妹は西方から逃がしたはずだ。他にも、傷つけられたくない者が住んでいるのか」
「俺の大事なひとがいたら、逃がしてもらえるのですか」
青の王は、「わかっているだろう」と言った。
「殺されるのをおそれるくらいならば、従順に生きるべきだ。それを民に、教えに行く。たとえ、おまえが本物の星見であったとしても、託宣はいらない」
ひっそりとほほえむ。いつものように、俺の反応を見て楽しむのではなく、心からそう思っているのがわかる。
どうしてか、涙があふれた。
「ルリ様に同じことを言われても、民を殺しに行くのですか」
「──どういう意味だ」
「ルリ様のように慈しむ相手がいらっしゃるのに、誰かの気持ちに寄り添うことはできないのですか? もしもヒソクが西方にいたら、俺は今、あなたを殺してでも止めます」
涙の向こうはぼやけていた。頭がどろのように重い。青の王は、「寝物語にしては気分が悪い」と、言った。
「忘れるな、ヒソク。おまえが他を殺してでも守りたいものがあるように、私には王として、この国を守る義務がある」
そう言って、もう一度、胸のティンクチャーをなでた。