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王宮の術師は、側女としても扱われることが多いと聞いて、俺は心を決めた。
妹が慰み者にされる恐怖に耐えられなかった。屋敷の主人がヒソクにまで手を出そうとした時も、俺はなんだってした。
俺はごろつきたちに、ヒソクをつれて逃げてくれるように頼んだ。彼らにとっても、術師としてのヒソクは、手放せない存在だった。
俺も一緒に逃げたところで、王宮の追手がくれば、すぐに追いつかれてしまう。時間を稼ぐために、俺は女物の布を巻いて、ヒソクのふりをすることを思いついた。
王宮からの召喚を断れば、どちらにしろ俺たちには死が待っていた。
ヒソクと別れる夜、降りそうな星の下で、小さな手をにぎりしめた。最後になるだろうとわかっていたから、ずっと妹の寝顔をながめていた。
やわらかい布が敷かれた寝台に、乗るのは初めてだった。
街の人の寝る場所は石か木でできていて、布をシーツとして敷くぐらいのことはしたけれど、布が重ねて置かれているのかずいぶんとふかふかしている。
後ろから身体を押し付けられてその体重を受け止めても、ひざは痛くならなかった。
「子どものくせにずいぶんと手慣れているな」とあざ笑われた。
自分で尻の穴にそそぎこむよう言われた油は、甘く澄んだいい香りを放ち、部屋の中いっぱいに立ちこめていた。
たぷたぷするまでそれを指で押しこんで、狭いところを広げれば、少しはあとが楽だと知っているのでそうした。
四つん這いで腰をあげさせられて貫かれたのが、記憶よりもずっと生々しかったので、ただ声を出さないように気をつかった。
狭い入口にためらわず性器が押し込まれたので、足先が痙攣してしまった。
含んでおいた油が質量で外にあふれ出てきて、内股までたれてぬるぬるになってしまう。
ゆっくりと奥まで達したと思ったのに、さらに奥をつきあげられて、胃まで圧迫されてうめく。
いじめられた内臓が悲鳴を上げていたけれど、男はそれ以上動くこともなくじっとそのままでいたので、広げられた穴も内側もつらくなって、はあと息を逃がした。
弱った声を出してしまいそうで怖い。
ふいにまわされたてのひらでくちをふさがれる。
声を出すつもりはないと言いたかったけれど、目的は他にあったようで、大きなてのひらからは油と同じ匂いが香っていた。
「息を吸い込んでみろ」
指のすき間から入ってくる空気は少なくて、苦しさに耐えきれず言われるまま肺いっぱいに吸い込んだ。
途端に眼球が回転したような衝撃を覚えた。
甘いにおいが吸い込んだはしから血に溶けこんで、体中をかけめぐる錯覚が起こる。
まともにそれを受け取れなくて、頭がクラクラとゆれて身体を支えていた腕に力が入らなくなった。
その場に倒れこみそうになったが、腹にまわされた腕がそれを許さなかった。
「は、あ」
耳の後ろがうるさいほどにどくどくと脈打っている。
受け入れていた場所が勝手に中を締めつけようとするのが、自分の身体のようには思えなくて、噛みしめていたくちびるがふるえた。
「内側に入れるよりもこちらのほうが効くみたいだな。すぐにその高い自尊心をかなぐり捨ててすがりつくようになる」
「自尊心、なんてない、です」
「挑発にのってすぐに言い返すところがその証じゃないか」
そんなふうに言われたことはなくて、身体のつらさよりもさいなまれた。
「アンバルははじめてか? 動物の分泌液は甘ったるくて腰にくるだろう」
医療用の薬草すら高価すぎてろくに手に入らない貧困の街で、こんなものを塗り込められた経験などあるわけがなかった。
ようやく内側が大きさに慣れてきたところで、性器を半分ほど引き抜かれる。
中はその形に慣れすぎていて、抜かれるのを嫌がるように襞がまとわりついて追いかけようとするので、ゆっくりした動きは内側のざらついた感覚までも呼びおこす。
「うう、ん」
背中にいっぱいの鳥肌を浮かせて、俺はくちびるを噛んでその刺激に耐えようとした。
けれど、のどが鳴るくらい息を止めていたあとで、思い出したように性急に腹の奥につきいれられたので「ああっ」とかん高い声がもれた。
自分の出した女のような声すら耳に心地よくて、俺の身体は反応した。
「ふっ、あ、あん。やああ」
抽挿がはじまって、俺は引き抜かれるたびに声をもらしてしまう。
まだ最初のうちだというのに体温が一気に上昇して、ぽたぽたと汗が首をつたう。
「嬌声だけはぎこちないな。相手は、そういうのが好みだったか」
腰をぐっと敷布の上に押し付けられると、角度がかわって下腹部への衝撃が強くなった。
「うあっ、やだ」
素直にそうくちにしてしまうと、身体は正直で浮かんでいた汗は冷たくかわって肩が小刻みにふるえだした。
顔と受け入れている後ろだけが異様に熱くて、俺のことなど無視して何度も出し入れされる。
もう苦しさすら感じなくて、ぐちゃぐちゃした音がもれるたびに、腰がしびれた。
「う、うう、んっ」
立ち上がった性器が布にこすられる刺激に負けて、腰をすりつけた。
射精感もないのに自分が出したものでぬるついて、それすらも気持ち良くなってしまう。
無意識に腰が下へ下へと落ちていたようで、それに気づいた男にまた腰を抱えあげられる。
断続的な性器への刺激が急に取り上げられて、快感を追うことだけに夢中になっていた俺はとり乱した。
「あ、ああいやだ」
もっと、もっとしたいと思って、頭がその言葉だけでいっぱいに埋めつくされる。
行為中に自分がどうこうしたいなどと思うことはなかったので、未知の欲求に焦れた。
母屋に聞こえるから、声は出すなと言われていたのに。
浅く息を吸い込む。甘い香りがそこらじゅうに漂っていて、空気を吸い込んだ。
「はあ、あん、気持ちいい、いい」
たまらなくなって腰をゆらめかせかけると、くちをふさがれた。
香りの残滓はわずかだったのに、俺はびくびくと痙攣しながら射精して白いものを吐きだす。
「は、んうっ」
くぐもった声を上げて、出しつくす。荒い息を逃すこともできず、酸欠で目まいがした。
耳もとに熱い息がかかる。
「死か、奴隷、と言ったか」と、この上なく楽しそうに笑った。
「ずいぶんと、ラクな道が残っていて良かったな」
熱に浮かされた頭は、一気に正気を取り戻した。硬さを保ったままの性器が引き抜かれる。
俺は男の脚のあいだに這って、油でべとつく性器をくちに含んだ。
舌をからめて、丁寧に油をなめとり、必死になぐさめていると、前髪をつかまれて上向かせられた。
くちに含んだものを離されると思って、両手で根元をおさえて、くちびるに力をいれる。
歯があたってしまって、青の王はわずかに顔をしかめた。
「ヴァートの言うことも、あながち間違いではなかったな。この緑に、上目づかいで見られるのは悪くない」
予想外に満足そうな声が降ってきて、俺は意外だった。涙のたまった目のふちから、涙がゆるくあふれ出た。
きゅっと、親指でぬぐわれる。
俺はあわてて、自分の手で涙をぬぐった。こんなことまでしているのに、不興を買ってしまうのはいやだった。
くちの中でしごきあげると、油とは違う味が浮いてきたので、亀頭に吸いついてのどをこくりといわせた。
そのうちにまた、自分まで気持ち良くなってきたように思えて、腰をあげた格好をとるのがつらくて生理的な涙がこぼれた。
頑張ってみたけれど射精まではさせてもらえず、仰向けに寝転がされる。
空には見たこともない薄い黄色の布がかけられていて、すすけた赤茶色の天井がやわらかく覆われていた。
またどろりとした油を下腹部にたらされて、さすがに泣きが入った。
ふるえる指を液体にからめて、ひざを広げて奥のすぼみに少しずつ含ませる。
もうそんなことをしなくても受け入れられるほど解れていたけれど、いっそ冷徹とも見える男のまなざしは許してはくれなかった。
きゅ、と一番長い指を奥まで埋めたら、自分のものなのに背筋に寒気が走った。
浮かせたひざがふるえたけれどさらに開き、はしたない格好のまま俺は指を出し入れして痴態をさらし、男を誘った。
「入れてください」と、泣いた。
甘い香りで気を失いそうだった。そのまま失神してしまえたら、どれだけラクかと痛感した。
そして、両腕を身体の横で固定されたまま、何ひとつ自由にならず、身体をゆさぶられるのは、死ぬほど気持ちが良かった。
今だけは、全部忘れてしまいたかった。
腰をうちつけられる熱さに、声も出せずに涙をながした。
胸もとの、鎖骨の下あたりが、急激に熱を持ちはじめる。焼きごてを押されたかと疑うほど、痛みが増した。
身体をふるわして泣き始めると、青の王が「じっとしていろ。痛みを感じるのは、一度目だけだ」と言った。
俺の腹に飛び散っていた、油と精液のまじったものをすくいとって、俺のくちにぬりつけた。甘い匂いをかげば、痛みは少しだけまぎれた。
夜風が吹きこんで、ようやく淫蕩な香りが少しだけ薄れた。
うとうとしていると、青の王は、俺の胸元をなでた。浮き出た鎖骨の下に、鳥の羽を思わせる両翼がしるされていた。
妹が慰み者にされる恐怖に耐えられなかった。屋敷の主人がヒソクにまで手を出そうとした時も、俺はなんだってした。
俺はごろつきたちに、ヒソクをつれて逃げてくれるように頼んだ。彼らにとっても、術師としてのヒソクは、手放せない存在だった。
俺も一緒に逃げたところで、王宮の追手がくれば、すぐに追いつかれてしまう。時間を稼ぐために、俺は女物の布を巻いて、ヒソクのふりをすることを思いついた。
王宮からの召喚を断れば、どちらにしろ俺たちには死が待っていた。
ヒソクと別れる夜、降りそうな星の下で、小さな手をにぎりしめた。最後になるだろうとわかっていたから、ずっと妹の寝顔をながめていた。
やわらかい布が敷かれた寝台に、乗るのは初めてだった。
街の人の寝る場所は石か木でできていて、布をシーツとして敷くぐらいのことはしたけれど、布が重ねて置かれているのかずいぶんとふかふかしている。
後ろから身体を押し付けられてその体重を受け止めても、ひざは痛くならなかった。
「子どものくせにずいぶんと手慣れているな」とあざ笑われた。
自分で尻の穴にそそぎこむよう言われた油は、甘く澄んだいい香りを放ち、部屋の中いっぱいに立ちこめていた。
たぷたぷするまでそれを指で押しこんで、狭いところを広げれば、少しはあとが楽だと知っているのでそうした。
四つん這いで腰をあげさせられて貫かれたのが、記憶よりもずっと生々しかったので、ただ声を出さないように気をつかった。
狭い入口にためらわず性器が押し込まれたので、足先が痙攣してしまった。
含んでおいた油が質量で外にあふれ出てきて、内股までたれてぬるぬるになってしまう。
ゆっくりと奥まで達したと思ったのに、さらに奥をつきあげられて、胃まで圧迫されてうめく。
いじめられた内臓が悲鳴を上げていたけれど、男はそれ以上動くこともなくじっとそのままでいたので、広げられた穴も内側もつらくなって、はあと息を逃がした。
弱った声を出してしまいそうで怖い。
ふいにまわされたてのひらでくちをふさがれる。
声を出すつもりはないと言いたかったけれど、目的は他にあったようで、大きなてのひらからは油と同じ匂いが香っていた。
「息を吸い込んでみろ」
指のすき間から入ってくる空気は少なくて、苦しさに耐えきれず言われるまま肺いっぱいに吸い込んだ。
途端に眼球が回転したような衝撃を覚えた。
甘いにおいが吸い込んだはしから血に溶けこんで、体中をかけめぐる錯覚が起こる。
まともにそれを受け取れなくて、頭がクラクラとゆれて身体を支えていた腕に力が入らなくなった。
その場に倒れこみそうになったが、腹にまわされた腕がそれを許さなかった。
「は、あ」
耳の後ろがうるさいほどにどくどくと脈打っている。
受け入れていた場所が勝手に中を締めつけようとするのが、自分の身体のようには思えなくて、噛みしめていたくちびるがふるえた。
「内側に入れるよりもこちらのほうが効くみたいだな。すぐにその高い自尊心をかなぐり捨ててすがりつくようになる」
「自尊心、なんてない、です」
「挑発にのってすぐに言い返すところがその証じゃないか」
そんなふうに言われたことはなくて、身体のつらさよりもさいなまれた。
「アンバルははじめてか? 動物の分泌液は甘ったるくて腰にくるだろう」
医療用の薬草すら高価すぎてろくに手に入らない貧困の街で、こんなものを塗り込められた経験などあるわけがなかった。
ようやく内側が大きさに慣れてきたところで、性器を半分ほど引き抜かれる。
中はその形に慣れすぎていて、抜かれるのを嫌がるように襞がまとわりついて追いかけようとするので、ゆっくりした動きは内側のざらついた感覚までも呼びおこす。
「うう、ん」
背中にいっぱいの鳥肌を浮かせて、俺はくちびるを噛んでその刺激に耐えようとした。
けれど、のどが鳴るくらい息を止めていたあとで、思い出したように性急に腹の奥につきいれられたので「ああっ」とかん高い声がもれた。
自分の出した女のような声すら耳に心地よくて、俺の身体は反応した。
「ふっ、あ、あん。やああ」
抽挿がはじまって、俺は引き抜かれるたびに声をもらしてしまう。
まだ最初のうちだというのに体温が一気に上昇して、ぽたぽたと汗が首をつたう。
「嬌声だけはぎこちないな。相手は、そういうのが好みだったか」
腰をぐっと敷布の上に押し付けられると、角度がかわって下腹部への衝撃が強くなった。
「うあっ、やだ」
素直にそうくちにしてしまうと、身体は正直で浮かんでいた汗は冷たくかわって肩が小刻みにふるえだした。
顔と受け入れている後ろだけが異様に熱くて、俺のことなど無視して何度も出し入れされる。
もう苦しさすら感じなくて、ぐちゃぐちゃした音がもれるたびに、腰がしびれた。
「う、うう、んっ」
立ち上がった性器が布にこすられる刺激に負けて、腰をすりつけた。
射精感もないのに自分が出したものでぬるついて、それすらも気持ち良くなってしまう。
無意識に腰が下へ下へと落ちていたようで、それに気づいた男にまた腰を抱えあげられる。
断続的な性器への刺激が急に取り上げられて、快感を追うことだけに夢中になっていた俺はとり乱した。
「あ、ああいやだ」
もっと、もっとしたいと思って、頭がその言葉だけでいっぱいに埋めつくされる。
行為中に自分がどうこうしたいなどと思うことはなかったので、未知の欲求に焦れた。
母屋に聞こえるから、声は出すなと言われていたのに。
浅く息を吸い込む。甘い香りがそこらじゅうに漂っていて、空気を吸い込んだ。
「はあ、あん、気持ちいい、いい」
たまらなくなって腰をゆらめかせかけると、くちをふさがれた。
香りの残滓はわずかだったのに、俺はびくびくと痙攣しながら射精して白いものを吐きだす。
「は、んうっ」
くぐもった声を上げて、出しつくす。荒い息を逃すこともできず、酸欠で目まいがした。
耳もとに熱い息がかかる。
「死か、奴隷、と言ったか」と、この上なく楽しそうに笑った。
「ずいぶんと、ラクな道が残っていて良かったな」
熱に浮かされた頭は、一気に正気を取り戻した。硬さを保ったままの性器が引き抜かれる。
俺は男の脚のあいだに這って、油でべとつく性器をくちに含んだ。
舌をからめて、丁寧に油をなめとり、必死になぐさめていると、前髪をつかまれて上向かせられた。
くちに含んだものを離されると思って、両手で根元をおさえて、くちびるに力をいれる。
歯があたってしまって、青の王はわずかに顔をしかめた。
「ヴァートの言うことも、あながち間違いではなかったな。この緑に、上目づかいで見られるのは悪くない」
予想外に満足そうな声が降ってきて、俺は意外だった。涙のたまった目のふちから、涙がゆるくあふれ出た。
きゅっと、親指でぬぐわれる。
俺はあわてて、自分の手で涙をぬぐった。こんなことまでしているのに、不興を買ってしまうのはいやだった。
くちの中でしごきあげると、油とは違う味が浮いてきたので、亀頭に吸いついてのどをこくりといわせた。
そのうちにまた、自分まで気持ち良くなってきたように思えて、腰をあげた格好をとるのがつらくて生理的な涙がこぼれた。
頑張ってみたけれど射精まではさせてもらえず、仰向けに寝転がされる。
空には見たこともない薄い黄色の布がかけられていて、すすけた赤茶色の天井がやわらかく覆われていた。
またどろりとした油を下腹部にたらされて、さすがに泣きが入った。
ふるえる指を液体にからめて、ひざを広げて奥のすぼみに少しずつ含ませる。
もうそんなことをしなくても受け入れられるほど解れていたけれど、いっそ冷徹とも見える男のまなざしは許してはくれなかった。
きゅ、と一番長い指を奥まで埋めたら、自分のものなのに背筋に寒気が走った。
浮かせたひざがふるえたけれどさらに開き、はしたない格好のまま俺は指を出し入れして痴態をさらし、男を誘った。
「入れてください」と、泣いた。
甘い香りで気を失いそうだった。そのまま失神してしまえたら、どれだけラクかと痛感した。
そして、両腕を身体の横で固定されたまま、何ひとつ自由にならず、身体をゆさぶられるのは、死ぬほど気持ちが良かった。
今だけは、全部忘れてしまいたかった。
腰をうちつけられる熱さに、声も出せずに涙をながした。
胸もとの、鎖骨の下あたりが、急激に熱を持ちはじめる。焼きごてを押されたかと疑うほど、痛みが増した。
身体をふるわして泣き始めると、青の王が「じっとしていろ。痛みを感じるのは、一度目だけだ」と言った。
俺の腹に飛び散っていた、油と精液のまじったものをすくいとって、俺のくちにぬりつけた。甘い匂いをかげば、痛みは少しだけまぎれた。
夜風が吹きこんで、ようやく淫蕩な香りが少しだけ薄れた。
うとうとしていると、青の王は、俺の胸元をなでた。浮き出た鎖骨の下に、鳥の羽を思わせる両翼がしるされていた。