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「アルカディアが出場するからシャトランジ大会を観に来ていたのか?」
「は、はあ?」
「それとも、私も試合を行うことになっていたが、それを知って観に来たのか?」
言葉をゆっくりと区切って尋ねる。ウィロウは首まで赤く染めて、ぶるぶると身体を震わせると「ああ、そうだよっ」と開き直った。
「言っとくけど、おれは女なんか見に行ってねーからな。〈青の学士〉が数年ぶりに公式試合に出るっていうから見に行ったんだ。あんたがアリーヤだった頃、シャトランジの試合は全部観てたし、この前だってめちゃくちゃ楽しみにしてたんだよ。それのどこか悪いのか!?」
「……いや、別に悪くない」
むしろ、すっきりした。潔いほどの馬鹿だということがわかって安堵した。楽しみにしていた試合を、対局がはじまる前に台無しにして申し訳なかったと、ささやかな罪悪感さえわいた。シアンのせいではない。
それもこれも全部、青の王のせいだった。
「は、はあ?」
「それとも、私も試合を行うことになっていたが、それを知って観に来たのか?」
言葉をゆっくりと区切って尋ねる。ウィロウは首まで赤く染めて、ぶるぶると身体を震わせると「ああ、そうだよっ」と開き直った。
「言っとくけど、おれは女なんか見に行ってねーからな。〈青の学士〉が数年ぶりに公式試合に出るっていうから見に行ったんだ。あんたがアリーヤだった頃、シャトランジの試合は全部観てたし、この前だってめちゃくちゃ楽しみにしてたんだよ。それのどこか悪いのか!?」
「……いや、別に悪くない」
むしろ、すっきりした。潔いほどの馬鹿だということがわかって安堵した。楽しみにしていた試合を、対局がはじまる前に台無しにして申し訳なかったと、ささやかな罪悪感さえわいた。シアンのせいではない。
それもこれも全部、青の王のせいだった。